« 2016年9月 | トップページ

2017年6月

東名高速 バス事故 中央分離帯構造の問題について緊急整理

6月10日7時29分頃、東名高速上り線の新城パーキングエリア(PA)付近で、中央分離帯を飛び越えた乗用車と観光バスが正面衝突し、乗用車の運転手が死亡、バスの乗務員・乗客の多くが負傷した。

●現段階で判明していること
・乗用車走行側の中央分離帯は、追越車線とガードレールの間に幅1~2mのり面がある。
・のり面はガードレールに向いて上っており、角度をつけて乗り上げるとジャンプ台のように作用する。
・ガードレールに大きな損傷は見られないことから、のり面を上った車が空中に舞い、対向車線に飛び越えたと見られている

●中央分離帯構造を問題とする記事
自動車評論家の国沢光宏氏が中央分離帯構造の問題について踏み込んだ記事を書いており、物議を醸している。
国沢氏はこのような欠陥構造となっているのに、放置されていたことを問題視されている。

クルマが宙を舞って原因は中央分離帯の管理ミスか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunisawamitsuhiro/20170610-00071946/

バス事故、乗用車が宙を飛んだ原因は中央分離帯の構造。全国の高速道路を早急に点検すべき
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunisawamitsuhiro/20170611-00071962/

●当方の知見
当方で気づい たことをまとめる。中国道に、同様のカーブ区間で追越車線とガードレールの間隔が空いていながら、土のり面でなくフラットなコンクリート張りとした箇所がある。

桜塚やっくんが2013年に事故死した現場だ。(写真は上り車線だが、事故のあった下り車線も同じ構造)
開通は、東名高速は昭和44年、中国道は5年後の昭和49年であり、中国道の構造は、車両ジャンプを防止する改良型である可能性がある。

Pa2

裁判沙汰になった場合、車両ジャンプの可能性から東名高速の構造を問題とする認識があったか否かが争点となるだろう。

バスの屋根構造がこの十数年の間に強化されたことは確かだ。
事故被害車両はECE基準R-66ロールオーバー対策をクリアーし、80cm下の畑のような場所に横転した際の生存空間を確保できるとされている。加わる外力は車両総重量(15トン)が屋根全体にゆっくり均等に加わる。
今回の事故は1.5トン程度の乗用車が相対速度200キロ以上でピラー2スパン程度の狭い範囲に衝突しており、数十トンに相当する力が集中して作用していると思われる。おそらく設計より1ケタ大きい力が作用している。

屋根もピラーも持たなかったはずだが、不幸の中で非常な幸運があった。
乗用車が飛来した屋根にクーラーユニットが載っていたことだ。頑丈な機械配管構造物のため、飛び込んできた乗用車の車体・部品がバス車内に侵入すことを身を挺して阻止したのだと思う。

なお以上の見解は、現行のロールオーバー設計基準を否定するものでない。

●どう対策すればいいのか
比較的見掛ける意見として、「スピード違反が原因であり、こういう輩のために道路の保安設備を厳重化することはコストが掛りすぎて必要無い」というものがある。

発生原因を封じ込めれば解決するという論法は、福知山線の速度超過による脱線事故の直後に言われていたことと同じである。この意見は、車両側でも衝突対応をいくらか行う方針が示されてから、一瞬で影を潜めた。
システムエラー、ヒューマンエラー、地震等により車両の走行中脱線は起こり得るものと考え、対策として自動車ほどの衝突安全性能までいかなくても車体構造に衝突想定を採り入れる。コストの掛らない対応は惜しまずに採り入れ、座席端部に乗客をホールドするパネルを設置、吊皮が細いため大きなGがかかると握りしめた指の圧力が限界を超えて放り出されてしまう現象を緩和するため吊皮を太くした。

このように、鉄道ですら多重に安全を守ることが常識となっている。不確定要素の多い自動車の安全確保では、鉄道以上の多重化が必要なはずだ。

●結論
道路交通では無違反走行をしていても、突然のパンク、発作、違反走行車による追突などで車線を逸脱することはあり得る。
進行方向の車線の範囲内で処理出来れば速度差が小さく抑えられ、現代の車両であればきちんとシートベルトを締めいれば、ほぼ生存は確保できる。従って、対向車線への逸脱防止を最優先として、道路保安設備は設計・設置されるべきである。

レアケースとして軽視せず、今後は同様な事故が起こらないように道路管理者は務めるべきであろう。

責任主義により誰かを悪者に仕立て、そこで思考を止めて対策を行わないのが最もまずい。自身や家族がこの事故のような過酷な状況に置かれ、無対策に気付いた時はもはや手遅れだ。
非常に確率の低い「悪魔の貧乏くじ」というものについて、これを根絶する努力を惜しまない人、根絶に注意も払わない人、根絶を進める人たちの足を引っ張ろうとする人、すべてに等しくリスクが降りかかる社会システムが最大の問題かもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

« 2016年9月 | トップページ